授業・研修報告 地域・在宅看護論概論⑦

地域・在宅看護概論 第7回:ご利用者様と「ご家族」を支える視点

こんにちは。シオン訪問看護ステーションです。 今回の「地域・在宅看護概論」第7回の講義では、前回からさらに視野を広げ、ご利用者様をとりまく「ご家族」にスポットを当てました。

ご利用者様本人はもちろん、そのご家族もまた、看護における重要な支援対象です。 複雑な関係性を紐解き、より良い支援に繋げるためのツールについて、学生たちと一緒に学びを深めました。

支援対象としての「家族」と家族システム理論

講義の冒頭では、前回の復習として各ライフステージの特徴や健康状態を振り返りました。 「地域や在宅でどう支援するか」を再確認したうえで、「ご利用者様だけが支援を受ける対象なのでしょうか?」という問いかけから本題に入ります。

変化する日本の家族
関係性を可視化する「ジェノグラム」と「エコマップ」

家族を一つの「システム」として捉える考え方です。
家族は個々の力を足した以上のパワーを持っており、1人+1人=2人以上の力があるといわれています。また常に安定性を維持しようとする(恒常性)があり、常に安定を保とうとしまう。しかし、家族誰か一人の変化や行動が家族内に大きな変化となって現れることも事実です。
「利用者の課題は、家族やパートナーの課題でもある」という視点を持ち、映画『ディア・ファミリー』のエピソード(病気の子を支える家族の団結)も交え、家族全体をアセスメントする重要性を伝えました。 また、ACP(人生会議)においても、本人の意思だけでなく、それを支える家族の意思決定プロセスを支えることが大切です。

複雑な家族関係や地域社会との繋がりを客観的に把握するため、2つのツールの書き方を解説しました。
ジェノグラム 家族の内部構造を記号で表した図です。年齢、性別、婚姻、離婚、死別などの関係性を一目で把握できます。
エコマップ 家族と、地域社会や医療・福祉サービス(サポート資源)との繋がりを表す図です。関係の強さやストレス・葛藤の有無を、線の種類(太線や波線など)で視覚化します。

個人ワーク:事例から課題を抽出する

講義の後半では、具体的な事例をもとに学生たちに実際に図を描いてもらいました。
【事例:77歳の独居女性 Yさん】
夫と死別し、現在は一人暮らし。長男と長女がいる。
「最期まで自宅で過ごしたい」と希望しているが、長男の嫁とは折り合いが悪い。
さらに、長女の夫ががんで予後不良という、家族全体が大きな不安を抱えている状況。
このような複雑な背景を持つYさんの関係図を作成し、「家族自体の問題点は何か?」「どのような解決策が考えられるか?」を各自で深く考察しました。

まとめ:家族全体をケアする視点

講義の締めくくりとして、学生たちに次の3点を伝えました。
家族の多様化を知り、それぞれの家族像を理解すること。
家族が担っている役割(負担や責任)を理解すること。
関係図を可視化し、環境や人間関係の中に潜む問題点を見出すこと。
病気や障害を抱えながら在宅で暮らす方を支えるには、ご家族の存在が欠かせません。 訪問看護師として、ご利用者様個人だけでなく、ご家族を含めた「システム全体」をケアしていく視点を、これからも大切にしてほしいと願っています。

今日も読んでいただきありがとうございました。
次回お会いいたしましょう。